98年ローマ、パリ旅行 暫定版  ローマ編

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モニターの調子が悪いのでカラーバランスが悪いかもしれません(^_^;


ホテル エクセルシオール
 今回のローマ行きでの楽しみの一つは、ローマで最も有名なホテル、エクセルシオールに宿泊すること。パリやバルセロナのリッツと並ぶヨーロッパの名門ホテルだけに、建物は立派で調度品も重厚。サービスも押しつけがましいところがなくて、男性の従業員はみんなハンサムでダンディ!場所はローマの銀座?というべきヴェネト通りで、言うことなしでした。朝食も美味しくてこの点も満足。
 この写真は奥さんがコンタクスT2で撮ったもの。ツアイスのレンズはこういう被写体を美しく描写するのが得意中の得意。似非ゾナーなどという悪口は飛んで消えそうだ。

 コンタックスT2 ゾナー38ミリF2.8


カラカラ浴場跡
 この遺跡は.前回のローマ行きのときに行きそびれてしまった場所。暑さにはげんなりだ、しかしイタリアまで来たのだ、気を取り直して出かける。
 この遺跡は、まず規模で圧倒される。いつもながらローマの遺跡を見る度に思うことだが、これだけの岩をどうやって加工したのだろう。

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カラカラ浴場跡の野外歌劇の準備
 遺跡の最も奥にあたる場所は立入禁止。よく見てみるとどうもイタリア各地で夏場に行われる野外オペラの準備のようだ。PAや座席、舞台とおぼしきところには人の首のようなもの、写真にはないけど、巨大な指のようなものまで置かれている。
 カラヤンが万里の長城で「トーランドット」のビデオを撮ったとか、トレドの寺院で「ドンカルロ」を演じる計画をたてていたという話を聞いたことがある。真偽のほどは熱心ではないオペラファンの私は、最近のソフト情報を知らないのでなんとも言えないけれど、日本の文化財保護法ではなかなかできないことが多いだろう。最近、このような試みをチャレンジするようになってきたけど。
 日本では次世代のための文化財という気持ちが強いが、イタリアでは今の人間のための文化遺跡という感性も感じられる。

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カラカラ浴場跡のタイル
 カラカラ浴場のそこここに残るタイル模様は、イタリア人がもつ実用品に対しても手を抜かないデザインへの執拗な意識やモダンな色彩感覚の源泉を見る思いがする。ここに、1750年前に図書館や集会所それに体育館など、今でも考えられるほとんどの都市の娯楽施設があり、1600人収容という巨大なスペースに多くのローマ市民が気軽にでかけていったという文化・経済の規模にはあきれるばかりだ。

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サン・カリストの地下墓地カタコンベの入り口
 
今回、ローマからアッピア街道に出る出口にあるいくつかの遺跡を見たいと思っていた。それででかけたのだが、夏の暑さや距離感覚のなさが響いて十分な見物にはならなかった。このカタコンベは小説で知られているドミネ・「クオ・バディス」教会の先にある、ローマにある幾つかのカタコンベの中でも最大のもの。外は暑くて「水...水」と売店を探し回る騒ぎだったが、カタコンベの中はとても涼しい。日本人と見ると、日本語のテープを仕込んだラジカセをぶら下げたガイドさんが案内をしてくれる。構内は、最近、信者の遺骸が取り除かれもぬけの空となっている。以前のようにそれに気を奪われて遺跡の概要を見失うことはない。アッピア街道の中心の遺跡、チチリア・メテナの墓廟にいけなかったのは残念だったが、帰り道をタクシーで帰るとするとこのあたりが限界だ。流しを捕まえるのはこれ以遠はちょっと無理な気がする。

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地下墓地カタコンベまでの道
 
順番は前後するのだが、このカタコンベ入り口までの道はイタリアの田舎道という風情があり、気候のよいときには気持ちのよさそうな道だ。
 しかし、今回はうだるような暑さの中で歩いたので、ごらんのようにヘトヘトになってしまった。

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ヴェネト通りの街角で.....
 
ローマの街は汚い。パリの街とは大違い。でもローマの街の方が町並みは好き。これが私たちの感覚だろう。
 ローマの街は道は狭いし、落書きも多いし、狭いところにヘルメットをかぶらない二人乗りのバイク(ほとんどはアベックか若い女性同士の二人乗り)が中心道路だろうが狭い路地だろうが自動車そこのけそこのけで先頭切ってビュンビュンとばして危ないやら、けむいやら。もちろん自動車のスピードも並大抵のものではない。イタリア人は運転技術の才に恵まれた民族で、F1の伝説のドライバー、ファンジオの逸話や映画「紅の豚」の主人公がイタリア名ということでも世間の定評は伺い知ることはできる。そうはいうものの市内で見る顔がつぶれた自動車の数は、パリやロンドンよりもやはり多いと思う。
 ハッキリ言って歩くの怖いし、気後れしてたらいつまでたっても道一つ渡れないけど、高齢者が道の横断を始めると上手によけながら運転する(決して止まってくれないけど)やさしい街である。
 ローマはパリやロンドンに比べてボロボロの文字通り「前世紀(どころかそれよりずっと前)の遺物」が手入れされずに残されている例も多いけど、決して不潔ではない、妖しい魅力のある街だ。

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国立絵画館(バルベリーニ宮)
 ベルニーニ他の設計したバルベリーニ宮(右手)は今は国立絵画館になっている。この建物で有名なのは映画「ローマの休日」でオードリー・ヘップバーンが逃げ出した宮殿の舞台となったこと。内部のシーンは市内の他の宮殿を使ったのだが、宮殿外観の撮影ではこのバルベリーニ宮殿を使っていた。写真に写っている彫刻を見て思い出す人もいるだろう。遠くにはスペイン広場のオベリスクが見える。
 ここにはフィリッポ・リッピの「聖母と幼児のキリスト」やラファエロの「フォルナリーナ」などの名画がある。ただ、作品の密度はやや物足りない。

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BARにて
 イタリアでは「バー」ではなくて「バール」と読む。中身も異なって喫茶店に近いもので、もう少し気軽な雰囲気のもの。それでいてアルコールも、場合によっては料理も用意している。日本のバーに近いのはエノティカだろうか。いずれにしてもお姉さんがいる店はあまりない。イタリアではカラオケ(イタリア語でも「カラオケ」という)が人気があるが、どちらかというとレクレーションの道具であって飲み屋の施設ではない。
 バールでは、イスに座るお客さんと立ち飲みのお客さんとで料金や注文方法が異なる。立ちのみの客は、サッと入って、サッと出ていく、無駄な時間はほんとど過ごさずにスタスタとコーヒーを楽しんだらすぐに出ていく。このあたりは「せちがらい」といわれる日本人が、「のんびりとスローモー」が評判のイタリア人に驚かされるところだ。

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フォンタナ・デレ・アビ(蜂の噴水)
パルベリーニ広場には中央に、トリトーネの噴水(ホラ貝を吹く半人半魚の海神トリトーネが大きな貝殻の上に座り4匹の魚が支えている)とともに蜂の噴水、フォンタナ・デレ・アビがあり、市内観光の馬車を引く馬の水飲み場となっている。いずれの泉もベルニーニ作。蜂は当時この広場を治めていたバルベリーニ家の紋章である。作曲家レスピーギが「ローマの泉」という曲を書いているほどローマには有名なトレビをはじめとして、多くの噴水があり、これをみるのも一つの楽しみである。

 

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レストラン ピコロ・モンド 
 
ヴェネト通りから少し入りこんだところにある、気軽なレストラン。イタリア語で「小さな世界」という意味で、看板も地球儀が使われている(写真左上)。シーフードや気軽なメニューを楽しむには手近でよいレンストランだ。
 フェリーニの「甘い生活」の撮影に使われたのが店の自慢。
ローマの夏の夜はそこここで、レストランが路上まで机を出し、流しのギターリスト(写真左下)がやってきて、にぎやか。人は毎晩人生を楽しんでいる。

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スペイン階段
 
この一帯はスペイン広場と呼ばれる。スペイン大使館が近辺にあったからだ。皮肉なものだがこの広場の顔となる階段を寄付したのは実はフランス人。日本人なら律儀に「フランス」階段、フランス広場と呼ぶことだろう。
 今は階段の場所では飲食禁止になり、オードリーヘップバーンの「ローマの休日」で有名になったシーンのようにジエラードを食べるわけにはいかない。写真ではあまりの暑さに人が少ないが、いつもは野球場の観覧席のように人であふれる。つつじの季節には美しい彩りになり、階段で上まで上がるのは至難の業となる。

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バチカン宮の二重螺旋階段
 
バチカン宮殿は今は、バチカン美術館として多くの観光客を迎えている。宮殿内には1400余りの部屋があり、それぞれの区画ごが美術館の呼称をもっている。
 陳列品は膨大なもので半日やそこらではちゃんと見ることはおろか、素通りすることも難しい。大抵の観光客は有名なミケランジエロの「最後の審判」のあるシスティナ礼拝堂を目指して、ひたすら歩くことになる。この螺旋階段は美術館の入り口。ちゃんと出口方向と入り口方向が一方通行になるように二重に螺旋を切っているのが見事。写真家には見逃せない被写体とみえてこの階段は多くの写真集や作例に紹介されているようだ。

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バチカン宮の展示室
 この美術館の陳列は数が多いのも凄いが、ルーブル同様、宮殿を展示場としているだけに、美術品が従来どんな置かれ方をしていたのか伺い知ることもできる。中には礼拝堂やこの宮殿自体に描かれた作品もあり、言わば、上野の国立博物館と京都の二条城がくっついた感じ(とは言っても規模はまるで違う)。凄い。ここでは礼拝堂と名のつくところでは写真撮影禁止。それと気をつけなければならないのはルーブル同様入り口にX線検査機がある。高感度フィルムを持ってきたときは不意打ちをくらわないように。

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バチカン宮 ラファエロの間
 
システィナ礼拝堂のミケランジェロばかりに気がいってしまうが、宮殿内にはラファエロやダビンチの作品もあるので要注意。
 この「アテネの学堂」など画集でよくご存じのものも気をつけないと単なる壁と同じようにならんでいるので見過ごしてしまう。ぜひ時間をかけて行けるようにスケジュールをとりたい。

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朝のヴェネト通り
 
ローマ一の上品な通り、ヴェネト通りは古い建物、上品なウインドゥ、高級ホテル、涼やかに感じられる街路樹、それに歩道に仕切られたガラス張りのテラスのレストラン・カフェ....と舞台装置はすべて揃っている。「銀座みたいなロケーション」というけど、お国柄というか、全く違うぞ、これは。

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ヴェネト通りの街路樹
暑い、暑い...と思うのだが、これが木陰の魅力を増している。
ヴェネト通りにはこのような上品な木々がゆったりと風に揺れていて、ほっとさせてくれる。先ほど紹介したレスピーギが作曲した「ローマの松」という曲があるが、この街には松も多く見られ、主にコロッセオとかカラカラ浴場、戦車レース場となっていた広場あたりで目につく。何か遠い国で知人に会ったような思いがする。

 コンタックスT2 ゾナー38ミリF2.8


カフェテラス
 ヴェネト通りのカフェテラス。通りの歩道にドッカリとこのようなガラス張りカフェやレストランがのっかっている。厨房はどうなっているのかというと、お向かいにちゃんと親店のレストランがあって、いうなればここは街路に出ているテーブルと同じ。イタリアでもあまり他ではみられない?ように思うのだが、ここだけはこのような作りが、そこここに見られる。

コンタックスT2 ゾナー38ミリF2.8


雑誌の売店
 
ヴエネト通りでこういう商売をやっているというと、はて、これはその業界ではハイクラスになるのか?雑誌は、日本でも見られるような婦人誌から、色っぽい雑誌、絵はがきなどなんでもござれのようだ。本についつい目がいって立ち止まってしまう。

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街頭のレストラン
 ヴエネト通りのそれも泊まっていたエクセルシオールの横でもこのような楽しい賑わいが見られる。街頭の露天といっても場所が場所だけに結構お値段も一流、味も一流。ただ、イタリアは食事については物価がパリの2/3以下だから、ちよょっと贅沢してもまあ許される。ユーロ貨幣で統一されたらどうなるのかわからないけど、イタリアは我々日本人には一番気楽で一番美味しく食事ができる国だろう。もちろん、アフリカ・スラブ諸国からの難民やジプシーにもそれが言えるので、生活費の安い、イタリアやスペインはひったくりとか置き引きとか軽犯罪の多い国となってしまっているけれど。
 バチカンの門前のような観光スポット付近やヴェネト通りのような高級なところを避ければ、トラットリアでワイン一本そこそこの空けて、腹一杯いろいろ食べて、ちょっと贅沢したかなでも二人で6000円ぐらい。いつ行ってもおなかいっぱい、満足の国である。

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フランス編はモニターの修繕が終了してから手がけますので、

しばらくお待ち下さい。ちょっとかかるかもしれません。

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